第28回ツール・ド・おきなわ2016レースレポート
2016年11月13日。
3連覇がかかった沖縄に戻ってきた。
今年も3001番、チャンピオンゼッケンを付けて市民レース50kmフォーティーを走る。
前日はチームメイトの重田兄さんと軽めの試走、お気に入りのフォトスポットで今年も記念写真を撮る。
今シーズンは仕事内容が変わった事もあり上手く自転車に対するモチベーションがキープ出来ずトレーニング時間は激減。唯一、週末のチーム練だけは楽しみに行けたのでメンバーにも恵まれ高い強度は1年間通して保てた感じ。
そんな状態の中、そこそこレースでは走れていたが高いカテゴリーレースでは最後の踏ん張りが利かず、なかなか勝ち星に恵まれなかった今シーズン。
9月からツールド沖縄に向けて本格的にトレーニングを開始。2か月ちょっとの短時間だったが秩父宮杯、ジャパンカップと強度の高いレースを挟みつつ確実に調子は上がっていきレース前週の練習会ではほぼ昨年レベルくらいまで体調、スプリント感ともに戻ってきたと思う。
でも3連覇がかかった今回はプレッシャーしかない精神状態。前日もほぼ寝付けず当日朝を迎える。
4時起床、ホテルを5時に出発し5:30には会場着。重田兄さんと待ち合わせして名護漁港内で軽くアップ、6:30には集合場所へ行く。
顔なじみが増えてきた。
今回注意していた選手は昨年3位チェン選手。元オリンピックロードレースの台湾代表。アテネオリンピックって言ってたから20年前か?改めて直近でその肉体を見ると現役競輪選手並みな体つき。ガチスプリントの勝負はしたくない相手である。
あと昨年2位の鷹組安藤さんとSPADE ACE岡野さん、この2人はすごく走りが上手く、確実にスプリント勝負は絡んでくるので要注意。
このあたりをマークするように走り、レース終盤の国道58号線までは安全に展開したい。最後はやはりスプリント勝負になるのでそれは望むところ。とりあえず落車DNFだけは避けたい。
7:20、レーススタート。
最初1kmはまずパレードラン。今年は割と落ち着いてそんなにペースも上がらずグリーンフラッグが出てリアルスタート。
さっそく2〜3名が逃げ、そこに昨年2位、3位のチェン選手と安藤選手がブリッジ、8名ほどの集団を形成、5〜10秒差あたりで先行する。
ローテーションも上手く回っていて差は縮まらず、逆に逃げの方が早いペースに見えた。
ここからまだ45km以上あるからまさか逃げ切りは無いと思ったが、近くにいた岡野選手と相談。やはり同じ意見だったのですぐに捕まえはせず自然と逃げのペースを落ちるのを待つことに。17kmあたりの本部大橋手前で逃げを吸収。戻ってきた安藤選手にチェン選手の状態を聞くとかなり強いらしい。やはり要注意。
本部大橋を下って美ら海水族館へ。スプリントポイントがある短いダラダラした登り。ここは例年以上に体が軽い。無理をしなくても自然と前に上がって行ける感じだったので、逆に適度なペースをキープして走る。
今帰仁村に入った辺りから先にスタートした年代の遅れ組が多くなり集団はそれを抜くのに少し落ち着かなくなるが、今年は落車があったのかな?って思うくらい集団はスムーズに残り距離を消化していった。今年はペースが早い。
残り10km、海岸線を走り国道58号へ。いつも通り集団はペースアップする。出来るだけ前方をキープしつつチェン選手との距離を計りつつ走る。
残り5km、旧ジャスコ坂を下ってからは集団も50km/hオーバー。アタック気味にチェン選手を含む数名が先行するもここから逃がすつもりは無くすぐに吸収。まだ集団は50名以上いたように思う。
残り距離の看板が出るごとに集団左右から選手が前方に上がってきて位置取りはさらに激しくなる。危ない予感。
チェン選手は常に先頭2、3番手をキープ、足を削りながらでも確実に安全なポジションを走っている。このあたりは流石。自分は20番手前後、少し前に岡野選手、安藤選手は見える位置にいない。昨年の落車の事もあり、20番手前後でも危険な匂いがしていたので早めにチェン選手の後ろまでジャンプアップしようと考えていた。
残り2km。危惧していた事が。
すぐ右前の選手が左右に挟まれて落車発生。集団スピードは45km/h。そのまま落車した選手が左に倒れてきて後輪がハスられた感触。転倒までは堪えたがペダルも外れて完全にストップ。集団は20名ほど、そのまま先行して行ってしまった。
昨年の落車の際はギリギリ横をすり抜けられたので、最小限のタイムロスで済んだが今回は完全にストップ。さすがに一瞬レース終了がよぎる。
すぐにリスタートしたものの、まず落ち着いて後輪の状態を調べ、次に変速に問題がないかをチェックする。まだ走れる状態。今年も運に見放されてなかったようだ。
でもこの落車で自分のすぐ後ろを走っていた重田兄さんと安藤選手が巻き込まれてしまって残念な結果に。
自分はまだ諦めない。先頭集団はまだ見える位置にいる。ここは出し惜しみしている状況でないのでスプリントレベルの出力で追いかける。幸い少し牽制があったかどうかわからないが先頭のペースが上がっておらず宮里交差点カーブ手前で何とか追いついた。
曲がり終わって残り500m。追いついたそのままの勢いで最前列チェン選手の2番手後ろまで駆け上がる。ここが今年のターニングポイント。
その直後、集団真ん中で2度目の落車が発生。これで勝負出来る人数は完全に絞られて10名くらいになった。
残り200m、すでに50km/hオーバー。定石通りの距離でチェン選手がスプリント開始。チェン選手の番手を取っていた3位の谷口選手がそれに合わせて左側に発車。
チェン選手の番手が空いたので真後ろに着く。冷静な判断が出来た。
残り距離の看板を見ながらラスト150mでスプリント開始。自分は右側を選択し上がっていく。
昨年は初速の速度差で勝ちを確信したが今年はチェン選手が早いので抜ききれない。少しづつ、少しづつ並んで行き、ラスト50mでやっと振り切れた。
photo:Hideaki TAKAGI
勝ちを確信してフィニッシュラインへ。
photo:Hideaki TAKAGI
3連覇達成。
最後は力と力のスプリント勝負。特にチェン選手は強かった。
今回、序盤はまずまず安全なレース運びで国道58号線まで出られたが、そこからの落車祭りは交わしきれない状況だったので、怪我などされた方も多かったと思います。
ツールドおきなわのレースはほとんどが落車当たり前の状況になっている。この事はとても残念な状況なので、参加する選手自身もそのスキルと集団走行への意識も上げて行かなければならず、主催者側もコース問題など改善しないといけない事が多いですね。
ひとまず区切りのツールドおきなわ3連覇。さて来年はどうしようかなと、、少し休んでまた来シーズンを考えるとします。
今シーズンも一緒に練習してくれたサガンメンバーの皆さん、ARCCの皆さん、長柄練の皆さん、カラーズの皆さん、本当にいつもありがとうございました。
まだまだ頑張りますので、引き続き来シーズンもよろしくお願いしますm(_ _)m
表彰式の一枚。
photo:CHEN CHIH HAO
ARCCレーシングチーム momozo